- 年末調整の源泉所得税はいつまで?
- 年末調整ってどうやるんだろう?手続きが複雑で何を準備すればいいのか全然わからない…
- 1月に年末調整するってことは、今年の税金の支払いに影響があるのかな?追加で支払わなきゃならないとか、逆に戻ってくるとか、どうなるんだろう?
こんな疑問や不安に答えます。
1月に支払う税金は?
1月に支払う税金は、源泉所得税の納付です。
1月には、前年12月分の給与や賞与から源泉徴収した所得税を納付します。これは、従業員から天引きした所得税をまとめて納付するものです。源泉所得税の納付期限は翌月の10日までです。納期の特例を選択している場合は、半年分の源泉所得税を1月20日まで納付します。
年末調整の手続きについて知りたい方は多いでしょう。
本記事では、年末調整の基本や年末調整を行う際の具体的な手順や注意点などを解説しています。
年末調整の基本
年末調整は、企業が従業員の年間の所得税を精算するために必要な手続きで、確定した1年間の給与収入や所得控除から税金を算出し、天引きされた源泉所得税の精算が行われます。
これにより、給与天引き時に過剰に納付した税金は還付され、不足していた場合は追加で徴収されます。
サラリーマンのように、収入が会社からの給料のみの場合は、年末調整で申告と納税が完了します。
ただし、副業をしている場合や、別の会社から給与収入を得ている場合などは、確定申告をする必要があります。
>>>副業収入いくらから確定申告?20万円ルールと申告方法を解説!
年末調整の期限
年末調整の期限は1月末までです。
年末調整では、従業員の税金の計算や源泉所得税の納付、支払報告書や法定調書合計表などの提出を1月末までに完了させる必要があります。
ただし、源泉所得税の納付期限は「毎月納付」の場合は1月10日、「特例納付」の場合は1月20日なので、納付期限まで年末調整の計算をして、源泉所得税を納付することとなります。
年末調整の対象者
年末調整の対象者は、給与所得者です。
給与所得者は、月々の給与から所得税が源泉徴収されるため、年末に精算が必要です。
例えば、役員や従業員、アルバイトなど、給与を受け取っている全ての人が対象です。
ただし、2か所から給料を得ている場合は、そのうち1か所でしか年末調整が受けられない点に注意が必要です。
年末調整のメリット
年末調整は、企業に勤務する役員や従業員にとってメリットがあります。
医療費控除などを受けたり、ほかに収入がない限り、年末調整をすると所得税の申告と納税が完了します。
自分で確定申告をする必要がなく、会社が代わって申告と納税をしてくれるので、手間が大幅に省けます。
ただ、その分会社側は従業員数分の年末調整の手続きをする必要があるため、手間が増えることとなります。
年末調整の流れ
年末調整は、基本的に従業員全員が対象となることから、早めに動くことが重要です。
年末調整の全体の流れを把握して、計画的にすすめましょう。
年末調整の全体の流れ
- 扶養控除申告書等の必要書類の準備・回収
- 必要書類の不備、確認など
- 年末調整業務
年末調整の全体の業務は、所得や税金の計算だけではなく、還付金の支払や支払報告書などの提出まで範囲が及びます。
計画的に遂行し、1月末までに完了する必要があります。
年末調整の必要書類の準備・回収
年末調整を行うには、複数の書類の提出が必要です。
扶養控除申告書等は事前に従業員に渡し、記入されてから回収することになります。
年末調整で必要な書類
- 扶養控除申告書
- 保険料控除申告書
- 基礎控除兼配偶者控除等兼所得金額調整控除申告書
- 控除証明書等
また、正確に記入されているか、不備がないかチェックも必要です。
扶養控除申告書
扶養控除申告書は、配偶者控除や扶養控除などの情報を記載する申告書です。
例えば、扶養している子供や配偶者の情報を記入することで、控除を受けることができます。
配偶者控除や扶養控除は高額も大きいことから、漏れなく記入することが重要です。
保険料控除申告書
保険料控除申告書は、生命保険料や地震保険料、社会保険料控除の情報を記載する申告書です。
例えば、生命保険や地震保険、社会保険の保険料を支払った場合、その金額を記入し、控除証明書を添付することで、所得控除を受けることができます。
控除証明書は、毎年10月~12月にかけて各保険会社から送付されます。万が一紛失した場合は、再発行を依頼することもできます。
保険料控除申告書を正確に記入し、必要な証明書を添付して提出しましょう。
基礎控除兼配偶者控除等兼所得金額調整控除申告書
基礎控除や配偶者特別控除、所得金額調整控除に関する情報を記載する申告書です。
納税者本人の所得により変動する基礎控除や、配偶者の所得に応じて控除額が変わる配偶者特別控除などを算出するために提出が必要です。
控除証明書等
控除証明書の種類
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 小規模企業共済掛金控除証明書
- 国民年金控除証明書
- 国民年金基金控除証明書 など
所得控除を受けるためには、控除証明書が必要ですので、届いたら年末調整まで保管しておきましょう。
また、住宅ローン控除を受ける場合には「住宅ローン控除申告書」や「残高証明書」が必要となります。
必要書類を漏れなく準備し、提出することが重要です。
必要書類の不備の確認など
扶養控除申告書の記載内容や、控除証明書の有無などの確認を行います。
たとえば、扶養の記入漏れがあった場合は、税金ベースで数万円の差が出たりします。
前年のデータと比較することで、記入漏れやミスがわかりやすくなります。
申告書の内容が複雑になってきているので、一般の方は記入の仕方など、迷う部分が多いかと思います。総務担当者が確認することで記入漏れやミスを減らすことができます。
年末調整業務
年末調整の計算は、会計ソフトを利用しましょう。
手書きで計算するよりも、圧倒的に早く、計算間違いもなく進めることができます。
>>>フリーランス&個人事業主におすすめのクラウド会計ソフト3選&料金・サービス内容比較!
年末調整後の処理
年末調整後の処理
- 源泉徴収票の発行と配布
- 源泉所得税の納付および還付金支払、不足金徴収
- 総括表と支払報告書、法定調書合計表の作成・提出
源泉徴収票の発行と配布
年末調整後には、従業員に源泉徴収票の発行と配布・送付が必要です。
従業員の所得の証明として、または確定申告で使用するために必要となります。
源泉徴収票には、年間の所得額と源泉徴収された税額が記載されています。
源泉所得税の納付および還付金支払、不足金徴収
年末調整の計算が完了したら、納める源泉所得税額を納付書に記載し、期日までに納付します。
源泉所得税の納付期日
- 毎月納付・・・1月10日
- 特例納付・・・1月20日
また、従業員に対する還付金の支払や、不足額の徴収も行います。
還付金の支払や不足額の徴収は、次回の給料支払い時に精算するのが一般的です。
総括表と支払報告書、法定調書合計表の作成・提出
- 総括表と支払報告書・・・各従業員の給与収入や所得控除などを記載する書類で、所在している各市町村に提出が必要です。支払報告書や確定申告書の情報により、住民税が課税されることになります。
- 法定調書合計表・・・税務署に提出する書類で、会社から支払われている給与の情報や、不動産の賃貸に関する情報などが記載されます。
上記の書類は、1月末までに提出することになっています。
書類の提出方法
税務署や市町村への提出期限を守ることが重要です。
企業は1月末までに法定調書合計表や支払報告書等を郵送または電子申告で提出します。
提出後の修正方法
年末調整資料を提出後に修正が必要な場合は、速やかに総務担当者に知らせ、修正を依頼しましょう。
進捗具合によっては、修正が間に合う場合があります。
間に合わない場合は、自身で確定申告し、修正分を含めた内容を申告することになります。
一応は、年末調整の期日である1月31日までは、年末調整後であっても「再調整」が可能となっています。
よくある質問
年末調整と確定申告の違いは?
年末調整は企業が従業員の年間所得税額を精算する手続きであり、確定申告は個人が年間の所得を申告し税額を確定する手続きです。
例えば、年末調整では給与所得者の所得税を精算しますが、確定申告では給与所得以外の所得や控除も含めて総合的に税額を計算し申告します。収入が1か所からの給与収入のみのサラリーマン等は、年末調整で申告と納税が完了します。
年末調整後の変更や修正方法は?
年末調整後に誤りを見つけた場合は、年末調整の再調整を行います。
年末調整後に誤りを見つけた場合、早期に対応することが重要です。1月末までは年末調整の再調整が可能とされています。ただし、年末調整業務の進捗状況によっては、個人で確定申告することになる可能性があります。誤りが見つかった場合は、速やかに担当部署に連絡し、修正手続きを行いましょう。
医療費控除は年末調整で控除できる?
医療費控除を受けるためには、確定申告で控除を受ける必要があります。
医療費控除を申請する場合、年間の医療費が10万円または、所得の5%に相当する金額を超える金額を確定申告で控除できます。医者の領収書や、処方箋の領収書などが必要になるので、保管しておきましょう。
1月に支払う税金は?年末調整の手順と注意点を徹底解説:まとめ
源泉所得税は1月10日の納付期限までに納付する必要があります。特例納付を選択している場合は1月20日が納付期限になります。
年末調整の作業内容は、従業員全員の申告書類の準備や申告書の記載内容のチェックと修正、税額の計算となっており、従業員数が多いほど、大人数の年末調整を短期間に処理する必要が出てきます。
また、税金の計算のみならず支払報告書や法定調書合計表といった書類の提出期限も1月末となっています。
スムーズに作業が行われるように工夫することが重要です。
年末調整をスムーズに行うためのポイント
年末調整をスムーズに行うためには、事前準備と正確な書類の記入が重要です。
- 必要な書類を事前に準備し、チェックリストを活用して書類の記入漏れや誤りを防ぐ
- 従業員に対して早めに書類を配布し、早期に回収することで、確認や修正の時間を確保
上記のような対策が有効です。
事前準備を徹底し、正確な書類の記入と確認を行うことで、年末調整をスムーズに進めることができます。
税務調査への影響
税務調査が行われた場合、年末調整についても調査の対象となります。
処理が正確に行われていることと、年末調整関連の書類がしっかりと保存されていることが重要です。
例えば、従業員から回収した扶養控除申告書等や、作成した源泉徴収簿などの書類の保存が必要です。
また、自社で年末調整をすることが難しい場合は、税務の専門家である税理士に依頼するのがおすすめです。
>>>税理士に依頼する4つのメリットと3つのデメリット徹底解説!最適な税理士の探し方ガイド!
最後までご覧いただきありがとうございました。