1. 【結論】暗号資産の損失は「損益通算」できない！
暗号資産の損失は、他の所得と相殺できない！
暗号資産で損失が出ても、株式やFXのように「損益通算」はできません。
つまり、他の所得（給与・事業所得など）と相殺して税金を減らすことはできない ということです。
👉 損失が出ても税金が戻ってくるわけではない！
👉 対策をしないと、翌年以降に損をしてしまう可能性も！
損益通算（そんえきつうさん） とは、ある年の利益と損失を相殺（そうさい）すること です。
たとえば、
✅ 事業で100万円の利益 が出たけど、
✅ 不動産賃貸で50万円の損失 が出た場合、
➡ 100万円 - 50万円 = 50万円（課税対象額） となり、税金を減らせます！
このように利益と損失を相殺できる制度を損益通算といいます。
暗号資産の損失は、給与所得などの他の所得とは相殺できません。
👉 同じ「雑所得」内でのみ相殺できる のがポイントです！💡
では、具体的に どのように税務処理すればいいのか？ 解説します。
2. 暗号資産の損失と税制の基本ルール
暗号資産は「雑所得」なので損益通算NG
税法上、暗号資産の利益は 「雑所得」 に分類されます。
雑所得の損失は、他の所得（給与所得・事業所得など）とは損益通算できません！
| 各所得の損失 | 損益通算できる？ |
|---|---|
| 事業所得（フリーランスの収入） | 〇 |
| 株・FX（申告分離課税） | 〇 |
| 暗号資産（雑所得） | ✕ |
👉 つまり、暗号資産の損失は「なかったこと」にされる！
✅ 損失を繰り越すこともできない
株やFXは「損失繰越」ができますが、暗号資産の損失は翌年に持ち越せません。
例えば、今年100万円の損失が出ても、来年以降の利益と相殺することは不可能 です。
👉 「今年マイナスだから、来年の税金を減らせる」という考えは通用しない！
3. 損失をうまく活用する方法
① 年内に利益を確定させる（含み損の確定）
暗号資産は、売却したとき（約定日）に利益や損失が確定します。
つまり、含み損の状態では、税務上は損失として扱われないため、税務上の損失とはなりません。
👉 同じ年の暗号資産同士の損益は相殺できるので、年内に含み損のある暗号資産を売却すれば、利益と相殺できる！
📌 具体例
- 今年 100万円の利益がある
- 50万円の含み損がある暗号資産を売却
- 課税対象の利益は 50万円 に減少
- 税金が安くなる！
この状況と売却するタイミングによっては、節税になりますね。
② 事業所得として計上する（ただし難易度高）
事業所得として申告できれば、損失を繰り越すことができます。
ただし、事業所得にするためには２つの条件をクリアする必要があります。
- その年の暗号資産の収入が300万円を超えること
- 暗号資産の取引にかかる帳簿の作成や書類等の保存があること
👉 暗号資産取引の帳簿の記帳はかなり大変なので、暗号資産計算ツールを利用するか、税理士に申告を依頼することをおすすめします。
そうなると、損失があることによる節税金額と税理士に依頼する料金とを天秤にかけて検討することも必要でしょうか。
③ 経費をしっかり計上する
暗号資産取引に関連する経費を計上すれば、課税所得を減らすことが可能！
📌 経費にできるもの
- 取引手数料
- 会計ソフトの利用料
- 税理士費用
- PC・スマホの購入費用（業務用として使用する分）
- 暗号資産関連の書籍 など
👉 経費を活用すれば、利益を圧縮して税金を減らせる！
4. 【税務署対策】損失を申告する際の注意点
① 取引履歴を正確に記録する
税務調査があった場合は、十中八九、取引履歴の提出や、事業所得の場合は帳簿等の提出を求められます。
取引履歴の管理や帳簿の作成が曖昧だと、本当に正しいか検証しつつ深いところまで調べられる可能性があります。
📌 準備しておくべき書類
- 暗号資産の取引履歴
- 暗号資産口座に入出金する銀行口座
- 帳簿（事業所得の場合）
👉 海外取引所の取引についてもあらかじめ取引履歴を準備しましょう。
5. 【Q&A】よくある質問
Q. 今年損失が出たけど、来年の利益と相殺できる？
A. できません。暗号資産の損失は「繰越」できないので注意！
Q. 損失が出た場合、確定申告は必要？
A. 損失だけの場合、確定申告の義務はありません。
ただし、将来的に税務調査が入る可能性があるため、取引履歴は必ず保存しておくべき！
Q. NFTやステーキングの損失も計上できる？
A. 基本的に「売却」や「換金」した場合のみ損失計上が可能。
NFTの価値が下がっても、売却しなければ「含み損」扱いのままです。
6. まとめ
✅ 暗号資産の損失は「損益通算」も「損失繰越」もできない！
✅ 損失を活用するなら、年内に含み損を確定させるのが有効！
✅ 経費をしっかり計上すれば、課税所得を減らせる！