初心者でも簡単に理解できる!損益計算書の見方と重要ポイント!

2024年5月30日

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  • 「損益計算書の見方をわかりやすく教えてほしい」
  • 「損益計算書の見るべきポイントが知りたい」
  • 「ポイントを押さえて、経営判断の参考にしたい」

はじめて損益計算書を見る方にとっては、何に注目すれば良いかが分からず、戸惑うこともあるかと思います。

損益計算書の基本を理解することで、自社の損益状況を把握し、適切な経営判断に役立てることができます。

この記事では、損益計算書の基本や読み方のポイントをまとめていますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。

1. 損益計算書の基本

損益計算書とは何か

損益計算書とは

損益計算書は、企業がどれだけの売上を上げ、どれだけの費用を支払い、どれくらいの利益を出しているかを示す財務諸表です。

  • 売上とは、企業が商品やサービスを販売して得た総収入を示します。
  • 費用とは、広告宣伝費や人件費など、販売活動や企業運営に必要な費用を示します。
  • 利益とは、売上から費用を差し引いて残った儲けを示します。

損益計算書は、企業が一定期間にどれだけの収益を上げ、どれだけの費用を支払ったかを示すもので、企業の経営成績を評価するための重要な財務諸表です。

他の財務諸表との関係

損益計算書は、貸借対照表やキャッシュフロー計算書とともに企業の財務状況を総合的に数字で表した会計資料です。

企業の経営状況を把握するツールとしての役割と、申告時には確定申告書とともに国に提出する決算資料でもあります。

損益計算書の構造

損益計算書の基本的な構造

損益計算書は、基本的に上から「売上」「仕入」「経費」「利益」の順番になっています。

各項目の概要

損益計算書には、売上高、売上原価、営業利益、経常利益、当期純利益などの主要な項目があります。

これらの項目がどのように構成されているかを把握することが基本です。

また、主要項目が示す目的や内容を理解することで、より詳細に経営状況の把握が行えます。

2. 損益計算書の主要項目

主要項目

  • 売上高

  • 売上原価

  • 売上総利益

  • 販売費及び一般管理費

  • 営業利益

  • 営業外収益と営業外費用

  • 経常利益

  • 税引前当期純利益

  • 当期純利益

各項目について解説します。

売上高

売上高は、企業が商品やサービスを販売して得た総収入です。

企業の収益力を示す指標です。

売上高は、商品やサービスが顧客に提供された時点で計上されます。

収益の計上時期を正確に把握することは、適正な税務申告する上でも重要です。

売上原価

ポイント

売上原価は、商品や製品の仕入れや、製造にかかった費用をいいます。

売上原価は、企業のコスト構造を示す重要な指標です。

売上原価は、期首棚卸高、当期仕入高、期末棚卸高を基に計算されます。

これにより、商品の仕入れや製造にかかった正確な費用を算出します。

売上総利益

ポイント

売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いたものです。粗利(あらり)とも呼ばれます。

売上総利益は、企業が商品やサービスを販売し、どれだけの利益がとれているかを示す重要な指標です。

この数値が高いほど、企業の収益性が高いことを意味します。

販売費および一般管理費

販売費の内訳

販売費には、広告宣伝費や手数料など、販売活動に直接関連する費用が含まれます。

売上をあげるための要した経費が販売費として表示されます。

一般管理費の内訳

一般管理費には、企業の運営に必要な管理費用、人件費や福利厚生費などが含まれます。

これらの費用は、企業の運営を支えるための基盤となるものです。

営業利益

営業利益は、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いたものです。

ポイント

営業利益は、企業の本業の収益力を示します。

本業で儲けているかどうかは、営業利益を見ればわかります。

営業利益がプラスになっていれば、儲けが出ているものとして経営がうまく行っていることを示すものでもあります。

営業外収益と営業外費用

ポイント

営業外利益・費用とは、本業以外での利益や費用のことをいいます。

営業外収益の種類

営業外収益には、受取利息や配当金など、本業以外からの収入が含まれます。

これらは企業の財務活動や投資活動から得られる収益です。

営業外費用の種類

営業外費用には、支払利息や割引料など、本業以外の活動に伴う費用が含まれます。

これらは企業の財務活動や投資活動に関連するコストです。

経常利益

ポイント

経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いたものです。

これは企業の通常の業務活動から得られる利益を示します。

経常利益は、営業利益よりも範囲が広がり、本業の儲けと本業以外の儲けを合算した利益です。

例えば、本業はプラスでも、営業外費用が多ければマイナス利益となってしまうことも大いにあります。

その逆もしかりです。

特別利益と特別損失

ポイント

特別利益・損失とは、臨時的に発生した収入や費用をいいます。

特別利益の例

特別利益には、固定資産売却益や補助金など、一時的な収益が含まれます。

これらは通常の業務活動とは異なる特別な取引から得られる収益です。

特別損失の例

特別損失には、固定資産売却損や災害による損失など、一時的な費用が含まれます。

これらは通常の業務活動とは異なる特別な事象による損失です。

税引前当期純利益

ポイント

税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いたものです。

法人税などの税金を引く前の利益を示します。

個人事業者の損益計算書では、そもそも法人税がないため、表示されない項目になります。

当期純利益

当期純利益とは

当期純利益は、税引前当期純利益から法人税等を差し引いたもので、企業の最終的な利益を示します。

当期純利益の重要性

当期純利益は、企業の最終的な収益力を示し、株主や投資家にとって重要な指標です。

この数値が高いほど、企業の収益性が高いことを示します。

個人事業者の損益計算書では、控除前当期純利益と表示される場合があります。

損益計算書の読み方と分析ポイント

損益分岐点

損益分岐点とは

ポイント

損益分岐点とは、全ての仕入や費用を支払って利益がゼロとなる、売上高をいいます。

つまり、損益分岐点を超える売上があれば利益が出て、下回る場合は損失となります

損益分岐点を知ることで、企業がどのくらいの売上を達成すれば利益を確保できるかを明確に把握できます。

固定費と変動費の管理

固定費は、売上高に関係なく発生する費用(例:家賃や人件費)です。

一方、変動費は、売上高に比例して変動する費用(例:商品仕入や原材料仕入)です。

固定費の削減や変動費の効率的な管理を行うことで、企業の収益性を向上させることができます。

損益分岐点の計算方法(簡易版)

(例)
売上高    1000万円
仕入高     400万円
売上総利益    600万円(売上総利益率 60%)
人件費     400万円
一般管理費    500万円
当期純利益   △300万円

損益分岐点の計算

400万円(人件費)+500万円(一般管理費)=900万円

900万円÷60%(売上総利益率)=1500万円→損益分岐点

つまり、1500万円の売上があれば、利益がプラマイ0になります。

>>>税理士に依頼する4つのメリットと3つのデメリット徹底解説!

損益計算書のよくある疑問

キャッシュフローとの違いは?

損益計算書とキャッシュフロー計算書の違い

損益計算書は、企業の収益と費用及び利益を示すものであり、企業の損益状況を把握するために使用されます。

ポイント

一方、キャッシュフロー計算書は、企業の資金の流れを示すものであり、資金の収入と支出を明確にしています。

損益計算書は帳簿上の利益を示しますが、キャッシュフロー計算書は実際の資金の動きを反映しています

黒字倒産とは?

ポイント

黒字倒産とは、損益計算書上では利益が出ているにも関わらず、実際の資金繰りが悪化して倒産することです。

主な原因は、売掛金の回収遅れや過剰な在庫、または借入金の返済が多いことです。

利益が出ているのに現金が不足する理由

損益計算書で利益が出ていても、現金が不足することがあります。

これは、売上が計上されても現金回収が遅れる場合や、固定資産の購入などで現金が流出する場合に起こります。

現金の流れを把握するために、キャッシュフロー計算書を併用することが重要です。

利益と現金の違い

利益は、企業の経営成績を示す指標ですが、現金は企業の運営に必要な資金です。

利益が出ていても現金が不足することがあり、企業の運転資金の管理が重要です。

損益計算書とキャッシュフロー計算書を連携させて、全体の財務状況を把握しましょう。

貸借対照表とは?

損益計算書は、売上や仕入、経費そして利益などの会社の損益状況を記載した書類です。

対して、貸借対照表は「現金や預金、土地建物などの資産」や「借入金や買掛金などの負債」そして、「資本金や繰越利益などの純資産」を記した書類で、会社の財産状況が記載されています。

損益計算書と併せて分析することで、企業の全体像をより深く理解することができます。

また、貸借対照表は損益計算書とセットで作成され、申告時には確定申告書とともに税務署に提出が必要な書類となっています。

まとめ

損益計算書は、企業の収益と費用や利益を把握するための重要な書類です。

売上高から始まり、売上原価や営業利益、特別損益などの主要項目を通じて、最終的な当期純利益を示します。

損益計算書を読むことで、企業の経営状況を分析し、損益分岐点や固定費・変動費の管理など、重要な経営判断に役立てることができます。

また、損益計算書はキャッシュフロー計算書や貸借対照表とは異なる視点を提供し、総合的な経営分析に欠かせません。

これらのポイントを押さえることで、企業の財務状況をより正確に理解し、適切な経営戦略を立てる手助けになります。

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最後までご覧いただきありがとうございます。

執筆者:プレノト

会計事務所時代は法人、個人の申告を累計500件以上担当。現在はWebマーケター。

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