- 試算表はなぜ作成するのか?
- 試算表はどう見たらいいの?
- 銀行は試算表のどこを見てる?
こんな疑問に答えます。
この記事の内容
- 試算表を作成する理由
- 経営的な見方
- 金融機関が見るポイント
試算表の見方・読み方を把握して、これからの経営に活かしていきましょう!
執筆者:PLEASANTNOTE
会計事務所時代は法人・個人の申告を累計500件以上担当。現在はWebマーケター。
個人事業者やフリーランスの方に向けて書いてます。
試算表の見方がわからない方や、経営に活かしたいと考えている方はぜひ当記事をご覧ください。
試算表の解説
試算表とは
試算表とはどういったものか、決算書とは違うものか、説明していきます。
試算表とは
決算期間の途中時点の「資産や負債」、「収入や経費」または「利益」を集計した会計資料です。
- 「資産や負債、資本」が表示される「貸借対照表」
- 「売上や経費、利益」が表示される「損益計算書」
2つが1セットで「試算表」となります。
試算表はおおむね1か月ごとに作成されます。
決算書は事業年度単位で集計され、決算や確定申告のときに作成し、確定申告書などと一緒に実際に税務署等に提出されるものです。
試算表の見方
試算表を構成する2つの帳票である「貸借対照表」と「損益計算書」について、それぞれ説明します。
①貸借対照表(B/S:balance sheet)
「貸借対照表」は、会社または事業の財産や負債がどれだけあるか、集計された書類です。
- 赤枠①には、現預金、売掛金、商品などの「資産」が表示されます。
- 青枠②には、借入金、買掛金など債務である「負債」が表示されています。
②損益計算書(P/L:profit and loss)
「損益計算書」は、収入と経費、利益が表示されている書類です。
- 赤枠①には売上(収入)が表示されます。
- 青枠②には仕入・経費が表示されます。
- 緑枠③には利益が表示されます。
『売上-仕入・経費=利益』という計算式になります。
※借方と貸方に関しては簿記の知識の範囲になるのでとりあえず置いておいて、はじめのうちは一番右の期末残高を見るとよいかと思います。
試算表が作成される2つの理由
試算表は法的に作成を義務付けられているものではありません。
どういった理由で作成されているのか簡単にご説明します。
試算表が作成される2つの理由
- 経営状況を把握するため
- 金融機関に提出するため
それぞれの理由について解説します。
経営状況の把握
毎月試算表を作成することで、月々またはその時点までの売上や利益状況などを把握できます。
試算表で経営状況を把握することにより、今後の経営方法や販売促進、経費見直しなどの対策が取れます。
また、前月や前期と比較することができるので、会社の売上推移を見比べたり、予想したりすることができます。
経営資料として作成され、経営会議などで利用されることも多いです。
金融機関に提出
融資を受けている金融機関から定期的に試算表の提出を求められることがあります。
金融機関としても、融資先の売上状況や財産状況を定期的に知っておきたいものです。
「売上は順調か」「借入金の返済財源がとれているか」など定期的にチェックしています。また、銀行内ので格付けもあり、売上・利益状況が良いと格付けも上がり、融資を受ける際に有利な条件があるなどメリットが得られます。
きちんと定期的に試算表を提出することにより「しっかりとした経理処理がされている」といった好印象を与えることにもなります。
試算表の経営的な見方
試算表の見方のポイント
法人と個人事業主では若干、試算表の見方が変わってきます。ここでは個人事業主目線での試算表の見方のポイントを解説します。
もちろん利益が多いことに越したことはありませんが、ここでは最低ラインの利益を把握するための考え方をご紹介します。
試算表の見方のポイント
生活費や借入金返済がまかなえる利益がとれているか
基本的に損益の計算は「売上」-「仕入・経費」=「利益」の計算式になります。
個人事業主の場合は「利益」が本人の所得になり、生活費や借入金返済の元金も「利益」から支出することになります。
たとえば、生活費が30万円必要で、借入金返済(元金)が10万円あるとすると、最低でも40万円の利益が必要になります。(税金も考えると正確にはもっと必要です。)
利益が出ていても、それ以上に生活費や返済が多いと資金繰り的には厳しい状況になってしまいます。
※減価償却費を計上している場合は「利益」に「減価償却費」を足した「償却前利益」で考えることになります。
足りない場合の分析方法
利益が足りない場合、あとどれくらいの売上が必要なのか、1つの考え方ではありますがご紹介したいと思います。
ご参考にしていただければ幸いです。
「必要な生活費」+「借入金返済額」から逆算で考えていく。
たとえば、年間の生活費が400万円必要で、借入金返済(元金)が120万円あるとすると、最低でも520万円の利益が必要になります。
サンプルの試算表で見ていくと
①の「控除前所得」(=「利益」)が380万円なので、目標に140万円足りていません。
では、売上がどのくらいあると足りるのか?
逆算で計算すると
(目標利益 520万円+③固定費 560万円)÷ ②売上総利益率 60% =1,800万円の売上が必要
1800万円-1570万円=あと230万円の売上が必要!
230万円÷12か月=月々19万の売上を増やせばいい
19万円÷26日=1日7,300円の売上を増やそう!
こんな感じで考えることもできます。
金融機関は試算表のどこを見ているのか
融資をしている金融機関が試算表のどこを見ているのか説明します。
主なポイント
- 売上規模
- 利益がどれくらい出ているか
それぞれの項目について解説します。
売上規模
月単位や年単位での売上金額を見られます。
売上規模は、借入金の上限を決定する基準の一つになっています。
たとえば、年間売上1,000万円の企業に1億円は融資しないですよね。ただ年間売上100億の企業には1億円の融資は全然あります。
このように売上規模は融資の上限を決める一つの重要な基準となっています。
利益がどれくらい出ているか
利益がどれくらい出ているのかも重要なポイントです。
借入金の返済は基本的に、利益の中から返済していくことになります。
利益が多く出ていれば、それだけ返済する金銭的な能力が高い評価となります。
正確にいうと「利益」+「減価償却費」の「償却前利益」が借入金返済以上あれば、帳簿上問題ないといえるでしょう。
逆に、利益以上の金額を返済する状況では、キャッシュフローが悪化していると判断される可能性があります。
最悪、追加融資が受けられなかったり、希望融資額を減額されたりといったことにつながる可能性があります。
まとめ
当記事の内容をまとめました。
試算表とは
決算期間の途中時点の「資産や負債」、「収入や経費」または「利益」を集計した帳票
- 「資産や負債、資本」が集計された「貸借対照表」
- 「売上や経費、利益」が集計された「損益計算書」
上記2つが1セットで「試算表」と呼ばれます。
試算表が作成される2つの理由
- 経営状況を把握するため
- 金融機関に提出するため
個人事業主の試算表ポイント
生活費や借入金返済がまかなえる利益が出ているか
利益が足りない場合は「逆算」で分析
金融機関が見てくるポイント
- 売上規模はどれくらいか
- 利益がどれくらい出ているか
参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。